SOLEIL ARTラボからの発信当院の生殖補助医療ラボから、
最新の情報を発信していきます

卵子学会学術集会に参加いたしました

皆様こんにちは。

SOLEIL ARTラボの胚培養士です。

先日、広島で開催された日本卵子学会学術集会に参加してまいりましたので、そのご報告をいたします。今回の学会の講演で、非常に興味深い講演がありましたので、ご紹介させていただきます。

概日リズム(サーカディアンリズム)と生殖機能に関しての講演だったのですが、概日リズムというとなんだか難しく聞こえますが、「体内時計」というと何となくイメージしやすいかと思います。生き物が元々持っている体のリズムのことで、体温、血圧、睡眠、ホルモン分泌などの調節に影響しているため、妊娠とも深く関連しています。

しかし、現代社会では、朝食を食べない、夜に強い光を浴びる、不規則な生活を送るなどにより、このリズムが乱れがちになってしまっています。

今回の講演をまとめると、朝食を決まった時間に食べることで、この乱れた概日リズムをリセットすることができるため、毎日朝食を食べる人は流産率が低くなり、出生率が上がることが明らかになったということでした。

規則正しい生活を送ることが不妊治療においても望ましいというのは何となくは理解できると思うのですが、実際に流産を減らし、出生率を高めることにつながるということがより具体的に理解でき、私自身にとっても勉強になりました。

また、余談として、妊娠前は不規則な生活をしている人も、妊娠を機に規則正しい生活を送るようになる人がほとんどであるという話もありました。

何かと忙しい現代社会で規則正しい生活を送るというのもなかなか難しいかとは思いますが、妊娠後からではなく、妊活中から規則正しい生活を心がけ、妊娠しやすい体を目指していってはいかがでしょうか。

ソレイユでは栄養相談を含めたプレコンセプションケアにも力を入れています。妊娠に向けた体づくりをサポートさせていただきます。

ご興味のある方はスタッフまでご相談下さい。

IFFS World Congress 2025(国際生殖医学会 2025)に参加いたしました

皆さま、こんにちは。
培養室長の山田健市です。

先日、4月26日〜29日に東京国際フォーラムにて開催された IFFS(国際生殖医学会) に参加してまいりましたので、ご報告させていただきます。
IFFSは3年に一度開催される、生殖医療分野における世界的な学会です。
今回は、なんと日本が開催地となり、1971年の第7回東京大会以来、約半世紀ぶりの日本開催とのことでした。
私にとって、IFFSは2010年にドイツで開催された大会以来の参加となり、個人的には初めて国際学会で口演発表という貴重な経験をさせていただいた、思い出深い学会でもあります。

今回の学会では、当院にて卵巣内PRP(多血小板血漿)投与後に、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)の結果が改善され、無事ご出産に至った症例についてポスター発表させていただきました。

PRP(多血小板血漿)療法 は、ご自身の血液から採取した多血小板血漿を用いた再生医療の一つです。当院では、主に以下の目的で卵巣内投与や子宮内投与を行っています。
【卵巣への投与】 卵巣機能が低下された女性の卵巣機能改善、卵子の質や数の向上、そして体外受精の成功率の上昇を目指します。
【子宮への投与】 主に子宮内膜が薄い方や着床不全の方に対し、子宮内膜の改善や妊娠率の向上を目指します。

もちろん、PRP療法が全ての患者さまに有効であるとは限りません。しかし、当院では患者様お一人おひとりのご期待に応えられるよう、スタッフ一同、常に最新の研究や技術を取り入れ、より質の高い生殖医療を提供できるよう努めてまいります。

なお、PRP療法およびPGT-Aは自費診療となり、適応条件、メリットやデメリットもございます。
詳しくは、医師やスタッフにご相談ください。

IMSI(強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術)について

皆様こんにちは。SOLEIL ARTラボの培養士です。
今回は、IMSIについてご紹介します。

IMSI(Intracytoplasmic Morphologically selected Sperm Injection)とは?

通常のICSI(顕微授精)では200~400倍の顕微鏡下にて運動性、形態が良好な精子を選別し、卵子に注入します。
しかし、ICSIにて形態良好な精子と判定した場合でも、精子頭部に微細な空胞が認められることがあります。このような精子頭部の異常構造体は、精子DNAの断片化と関連しており、結果として着床不成功や流産の原因となるといわれています。
IMSIは、通常のICSIに比べてより高倍率(1000倍以上)で精子を詳細に観察し、形態良好な精子を選択する技術です。IMSIを行うことで胚発育、臨床的妊娠率や流産率が改善されるという報告があります。

当院は、PICSI及びIMSIの先進医療実施施設として承認されており、保険診療と併用が可能です。
費用は、PICSI:27,500円(税込)、IMSI:13,200円(税込)となります。
ご希望の方はスタッフまでご相談下さい。

精子の最適な保存温度について

皆様こんにちは。
SOLEIL ARTラボの培養士です。
今回は、精子の最適な保存温度についてお話します。

実は、精子は温度の変化に弱いことが知られています。
様々な研究では、精子は急激な温度変化の影響を受けると、運動率や生存率の低下が起こることが報告されています。
精子は暑すぎる・寒すぎる環境が苦手な細胞であり、精子の保存には20-25℃の室温が適していることが分かっています。
この温度管理がきちんとされていれば、精子は元気な状態を保つことができます。

当院では、採精室を2部屋ご用意しており、ご自宅での精液採取が難しい方、遠方にお住まいで採取後の温度管理が難しい方にも対応しております。
特に人工授精や体外受精をされている方は、精子の運動率や生存率が重要になってきますので、可能な方は院内採精をおすすめしております。

ご主人様のご来院が難しい場合は、ご自宅で精液を採取しご持参して頂くことになります。
持参の際、温度管理にご不安をお持ちの方は、精液運搬用保温器~SEED POD~(本体が真空断熱構造になっており、精子の保存に適した温度を維持できる)を当院にて購入できますので、ぜひご検討下さい。(税込 2,420円)
夏の暑さや冬の寒さなど外気による温度変化から精子を守ることにより、より最適な状態の精子を治療に用いることが可能となります。

ご不明な点があれば、ご遠慮なくスタッフにお声がけ下さい。